JALの2021年3月期の本決算、業績予想、ANAの決算との比較をしていきます。
決算内容
①2021年3月期 決算内容
2021年3月期の連結決算のポイント
最終損益 2,866億円の赤字(前期は480億円の黒字) 2012年の再上場後初めての連結最終赤字
売上高 前期比65%減の4,812億円
22年3月期の業績予想 未定(黒字化のイメージのみ)
配当 2021年配当は通期で「0」22年3月期の配当は未定

業績の理由、事業毎の実績について
①新型コロナウイルス感染拡大の影響により、大幅な減収
②コスト削減に努力するも、減収を補うことができず大幅損失計上
国際旅客事業、国内旅客事業ともにコロナウイルス感染の影響を受ける前の2019年度比で以下のグラフの通り大幅な旅客数の減少
供給座席数を削減し固定費の見直しを行っているが旅客数の減少率が供給座席数の減少を上回り採算を圧迫


旅客数は国際・国内共に減少していますが、貨物・郵便事業は好調
半導体や電子部品関連需要は堅調に推移しており、①自動車関連の需要回復は継続 ②海上輸送からの転移需要が発生したことが好調の要因

②2022年3月期通期業績予想
ANAは4/30に決算発表を行っており、2022年3月期は黒字予想を出してきましたが、JALは通期業績予想未定として黒字化のイメージのみとなっています。
EBIT(利払い・税引き前利益)の黒字化には国際線・国内線の旅客需要がコロナ前比で60%以上が必要となります。
夏以降に需要回復が必要となりますが。既に緊急事態宣言も延長されておりANAの黒字化の前提も崩れていると思いますが2022年3月期も厳しい状況が継続しそうです。

EBITについては以下のリンク先を参考ください。
ANAとの比較
ANAの見通しは売上高13,800億円、当期純利益35億円の黒字化する予想となっています。
以下はANAの黒字化の前提となる旅客数の指数を示した資料となります。2Qの6月-9月に国際旅客20%、国内旅客85%を前提に徐々に回復する前提となっています。
ANAの見立てではまずは国内線の需要が回復し、年度末には100%まで回復。
一方で国際線は年度末でも50%と回復スピードは遅い見込みとなっています。

ANAの決算まとめは以下の記事をご参考ください。
JALとしては現時点では未確定要素が多いため通期業績予想は未定としている(合理的根拠をもって算出できない)状況です。
中期計画
中期計画の発表もご参考ください。
感想
JALの2022年3月期は現時点で黒字化できるかどうかについては見通しが全くつかないと思いますので手元資金の確保が重要です。
フリーキャッシュフローは▲3,105億円となる見込みですが財務キャッシュフローとコミットメントラインの資金調達により今期のキャッシュについては確保済みのようです。

毎月のキャッシュバーンが100億円~150億円の見通しのため営業キャッシュフローの改善が引き続き必要です。


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