高配当銘柄として人気なJTの決算発表がありました。
大注目だった配当は維持となっています。JTを保有している方の大部分が配当目的だと思うので一安心といったところでしょうか。
株価本体は下落トレンドが続いていますがなぜJTが人気なのかについても簡単に確認していきましょう。
JTのリスクについてはこちらをご参考ください。

第2四半期決算内容
決算概要(2020/1-6月)
売上収益 1兆302億円 前年同月比 ▲2.7%
営業利益 2,876億円 前年同月比 ▲0.1%
四半期利益 1,725 億円 前年同月比 ▲23.8%
決算の詳細について
JTの事業は大きく、たばこ事業(国内/海外)、医療事業、加工食品事業の3つに分類できます。



第2四半期決算の売上収益を事業別に分類すると売上比率は以下の通りです。
JTは海外たばこ売上が全体の6割以上を占めるほどのグローバル企業です。
事業別売上比率
国内たばこ事業 25%
海外たばこ事業 64%
医療事業 4%
加工食品事業 7%

JTの中核事業はたばこ事業ですが、売上の大半が海外となっており超グローバルカンパニーであることが分かります。
よってJTの業績の中で特に注目すべきは海外たばこ事業ということになります。
医療事業・加工食品事業にも力を入れていますが、全体の割合としては11%程度に過ぎないことが分かります。
それでは各事業の業績を確認していきましょう。
国内たばこ事業
国内たばこ事業は
売上数量 342億本 前年同月比▲8.6%
売上収益2,488億円 前年同月比▲11.9%
売上収益は前年同月比で11.9%減となっており、国内でのたばこ事業は減益となっています。
項目 | 国内たばこ事業 | 前年同月比 |
数量 | 342億本 | ▲8.6% |
売上収益 | 2,488億円 | ▲11.9% |
決算レポートの国内たばこ事業の需要見込みが当初の5%減少から8%台半ばの減少となっていることからも国内たばこ事業は縮小傾向であることが分かります。

国内たばこのシェアTop10は全てJTのブランドとなっており、国内では無類の強さを誇りますが市場の縮小などで売上は減少しています。
順位 | 銘柄 | ブランド所有者 | シェア(%) |
1 | セブンスター | JT | 4.2 |
2 | メビウス・ワン・100’S・ボックス | JT | 3.1 |
3 | メビウス・スーパーライト | JT | 2.7 |
4 | セブンスター・ボックス | JT | 1.3 |
5 | メビウス・エクストラライト | JT | 2.1 |
6 | メビウス・ライト | JT | 2.1 |
7 | メビウス | JT | 2.0 |
8 | わかば | JT | 1.8 |
9 | メビウス・スーパーライト・100’S・ボックス | JT | 1.7 |
10 | メビウス・エクストラライト・100’S・ボックス | JT | 1.6 |
決算と同時にたばこ税増税等に伴うたばこ小売価格改定の許認可申請についてというお知らせも発表されました。
たばこ税の増税は1.0円/本ですが、増税を上回る1箱当たり約50円の値上げをすることで収益性のアップを狙っています。
1箱当たりの利益率は増加しますが、販売数量は減少するはずなので利益への影響は注目ポイントです。
海外たばこ事業
海外たばこ事業の業績は以下の通りでした。
売上数量 2,119億本 前年同月比▲4.8%
売上収益6,261億円 前年同月比 +3.1%
項目 | 海外たばこ事業 | 前年同月比 |
数量 | 2,119億本 | ▲4.8% |
売上収益 | 6,261億円 | +3.1% |
売上数量が減少にも関わらず、売上収益が増加している理由は売上に占めるGFBの割合が増加しているためです。
GFBとはグローバル・フラッグシップ・ブランド(GFB)の「ウィンストン」「キャメル」「メビウス」「LD」は、世界でも有数のたばこブランドであり、JTグループのブランドポートフォリオの中核を形成している商品です。

18年度、19年度はGFBの割合は62%ですが、20年1-3月は65%に上昇。
前年同期と⽐べ顕著なプライシング効果が現れ、成⻑率が⾮常に⾼い⽔準となっているようです。
項目 | 18年度 | 19年度 | 20年1-3月 |
総販売数量 | 4276 | 4458 | 1041 |
(内GFB数量) | 2664 | 2770 | 675 |
比率 | 62% | 62% | 65% |
医療事業・食品加工事業
JTの全体の割合としては15%程度ですが、医療事業と食品加工事業の業績です。
項目 | 医療事業 | 前年同月比 | 加工食品事業 | 前年同月比 |
売上収益 | 373 | ▲10% | 718 | ▲4.8% |
気になる配当は?
予想配当
JT株の醍醐味の配当ですが、当初の予想から変更無しとなりました。
配当金は年間154円の予定
配当性向はなんと90%の超高水準となる予定です。
2019年の支払い総額は約2,700億円 のため2020年も同等と予想されるため純利益のほとんどが配当として株主に分配されることになります。

こんなに配当出して大丈夫なの?
高配当であることがJTを保有する理由だと思いますが、減配されないか?が常に注目されます。
配当性向は30%前後の企業が多い中、JTは90%と超高水準となります。
キャッシュ・フローの状況を確認すると2019年は
営業活動によるキャッシュ・フロー +5,404億円
投資活動によるキャッシュ・フロー ▲1,235円
財務活動によるキャッシュ・フロー ▲3,338億円
となっており現金及び現金同等物期末残高は増加しています。
やはり営業利益率20%程度あるためJTはキャッシュを創出する力がずば抜けています。

財務活動によるキャッシュ・フローを確認すると配当金支払いが2,700億円、自己株式取得に500億円を支出しており合計3,200億円を株主に還元していることになります。

利益剰余金は2019年度末時点で2兆7,500億円あります。
よってJTはたばこ事業での高い利益率による稼ぐ力と利益剰余金に現れているようにキャッシュリッチな財務状況であるため、配当性向90%でも配当金を維持できるのでしょう。
まとめ
JTの決算を振り返りましたが、国内、海外ともにたばこの数量は減少傾向です。
よって売上や利益率の大幅は上昇は見込めないと予想しています。
また、ESG投資の広がりにより株価は今後も下落トレンドが継続しそうです。
参考 ESGとは
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったものです。今日、企業の長期的な成長のためには、ESGが示す3つの観点が必要だという考え方が世界的に広まってきています。一方、ESGの観点が薄い企業は、大きなリスクを抱えた企業であり、長期的な成長ができない企業だということを意味します。ESGの観点は、企業の株主である機関投資家の間で急速に広がってきています。投資の意思決定において、従来型の財務情報だけを重視するだけでなく、ESGも考慮に入れる手法は「ESG投資」と呼ばれています。SustainableJapanより

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