注目をしていたオリックスの決算発表がありましたので内容の紹介と配当の予想について解説します。
配当利回りの高さとカタログギフトで個人投資家に人気のオリックスですが新型コロナの発生以降株価は業績への悪影響や減配リスクが織り込まれて下落をしていました。
今回の決算では法人金融サービス、不動産、ホテル事業、航空機リースなど幅広く悪影響があるのではないかと予想していましたので決算内容を見ていきましょう。
決算概要
最終的に当期純利益が前期比▲6.5%に留まったことは個人的な予想よりも悪影響が少なかったなというのが感想です。
配当は予想通り通期で76円となりました。
【決算概略】
売上高 2兆2803億円(▲6.3%)
営業利益 2,696億円(▲18,1%)
当期純利益 3,027億円(▲6.5%)
ROE10.3%
通期配当76円 配当性向32%
自社株買い558億円実施(設定は1,000億円)
今期の業績予想は合理的な算定ができないため未定となっています。
2019年3月期 (前回実績) | 2020年3月期 (今回実績) | 対前期増減率(%) | 2021年3月期 (今期予想) | |
売上高 | 2兆4,344億円 | 2兆2,803億円 | ▲6.3% | 未定 |
営業利益 | 3,294億円 | 2,696億円 | ▲18.1% | 未定 |
当期純利益 | 3,237億円 | 3,027億円 | ▲6.5% | 未定 |
セグメントごとの利益の割合
オリックスはもともとは日本でのリース業の先駆けとして事業を始めた企業ですが、現在ではリース業から派生して多角化経営を行っています。
生命保険、野球、レンタカーのイメージが強いと思いますが、事業の裾野が非常に広い会社です。
詳しくはこちら記事をご参考ください!

事業として大きな割合を占めるのが海外事業となりますが、リース、金融を軸として不動産も行っています。
オリックス セグメントごとの利益の割合

セグメント毎の利益を前期と比較すると海外事業では310億円、事業投資では175億円の増加となっています。
大きく利益が下がったセグメントは法人金融サービスと不動産となっています。
セグメント | 2019年3月期 利益(億円) | 2020年3月期 利益(億円) | 差額(億円) |
法人金融サービス | 255 | 146 | -109 |
メンテナンスリース | 388 | 337 | -51 |
不動産 | 893 | 769 | -124 |
事業投資 | 382 | 557 | 175 |
リテール | 842 | 804 | -38 |
海外 | 1254 | 1564 | 310 |
4014 | 4177 | 163 |
配当を予想してみる!
個人投資家の最も注目するポイントである配当については中間配当の予想が35円となっていますが、期末は未定です。
①中間配当 | ②期末 | 配当③合計(①+②) | |
2019年3月期 | 30 | 46 | 76 |
2020年3月期 | 35 | 41 | 76 |
2021年3月期 | 35 | 未定 | 未定 |
2009年からの配当と配当性向の推移を確認すると配当性向は20%~30%の間となっています。
リーマンショック後は大幅に減配をしており2009年は年間配当7円という年もありましたので業績悪化によって減配した歴史のある会社であることが分かります。

今回の朗報としては、2021年3月期に限り配当性向を50%まで引き上げると発表がありました。
よって利益水準が2,000億円程度までは配当水準を現在の水準で維持できることになります。
2020年3月期の配当の支払い総額が974億円のため、同水準を維持するためには974億円の2倍である約2,000億円の利益が必要です。
項目 | 2020年3月期 | 2021年3月期 |
配当性向 | 32% | 50% |
中間 | 35円 | 35円(予想) |
期末 | 41円 | 未定 |
支払い総額 | 974億円 | 未定 |
自社株買い | 558億円 | 未定 |
業績見通しの公表は困難ということで今期の見通しは非開示となっていますが、2パターンに分けてある程度の純利益の試算が発表されています。
パターン① 第3四半期末までに穏やかに正常化した場合 純利益1,800億円~2,000億円
パターン② 今期末まで問題が継続すると仮定した場合 純利益800億円~1,200億円
パターン①の場合は配当性向50%で前期同等の配当となりますが、パターン②の場合は配当の大幅減配(約半分)程度となる可能性があります。
項目 | パターン① | パターン② |
純利益 | 1,800億円~2,000億円 | 800億円~1,200億円 |
配当総額 | 900億円~1,000億円 | 400億円~600億円 |
一株当たり配当 | 前年同水準 | 前年比50%程度 |
まとめ
オリックスとしては配当性向を一時的に引き上げででも株主還元をしたいという意向はあるようですので今後のコロナの影響を見極めつつ業績を都度確認していきます。

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