高配当銘柄として人気(だった)日産自動車について事業概要、業績、配当について見ていきましょう。
日産自動車概要
2019年3月期 業績
まずは、日産自動車の2019年3月期の業績はを簡単に振り返ります。
売上高 11兆5,742億円
当期純利益 3,191億円
販売台数 5,516千台
一株利益 81.59円
一株配当 57.00円 配当性向 69%
となっています。
日産自動車の日本での立ち位置
11兆円規模の売上となり、日本企業の19年度の売上ランキングでは第7位に位置しています。
自動車業界ではトヨタ自動車、本田技研工業に次ぐ第3位です。
順位 | 会社名 | 19年度売上高 | 業種 |
1 | トヨタ自動車 | 30兆2256億円 | 自動車 |
2 | 三菱商事 | 16兆1037億円 | 商社 |
3 | 本田技研工業 | 15兆8886億円 | 自動車 |
4 | 日本郵政 | 12兆7749億円 | サービス |
5 | NTT | 11兆8798億円 | 通信 |
6 | 伊藤忠商事 | 11兆6004億円 | 商社 |
7 | 日産自動車 | 11兆5742億円 | 自動車 |
8 | JXTG | 11兆1296億円 | 石油 |
9 | ソフトバンクグループ | 9兆6022億円 | 通信 |
10 | 日立製作所 | 9兆4806億円 | 電気機器 |
日産自動車の世界での立ち位置
販売台数
売上高を世界の自動車メーカーと比較しランキングにすると世界10位に位置しています。
アライアンスを組んでいるルノーと三菱自動車の販売台数を合計すると年間1,000万台クラスの巨大連合となりVWやトヨタ自動車と肩を並べる規模となります。
売上高順位 | 社名 |
1位 | VW |
2位 | トヨタ自動車 |
3位 | ダイムラー |
4位 | フォード・モーター |
5位 | GM |
6位 | 本田技研工業 |
7位 | 上海汽車 |
8位 | FCA |
9位 | BMW |
10位 | 日産自動車 |
11位 | 現代自動車 |
12位 | PSA |
13位 | ルノー |
14位 | 起亜自動車 |
15位 | タタ・モーターズ |
16位 | スズキ |
17位 | マツダ |
18位 | SUBARU |
19位 | 三菱自動車 |
20位 | テスラ |
21位 | BYD |
販売台数と市場占有率の推移
日産自動車の自動車販売台数は約550万台規模であり、世界の自動車市場における占有率は6.0%前後を推移しています。

地域別グローバル販売台数
日産自動車のグローバル販売台数の地域別割合を確認すると、日本は11%となっており約9割が海外向けであることが分かります。
特に中国、米国市場での販売台数の割合が大きくなっています。日産にとっては中国市場、米国市場が最も重要であることが分かります。
ルノー・日産自動車・三菱自動車連合において欧州はルノー、アジア圏は三菱自動車というように役割分担となっています。

各地域での販売台数と市場占有率です。
中国、米国での販売台数が多いのですが、市場規模が大きいため市場占有率としては中国で5.9%、米国で8.4%となっています。
地域 | 販売台数 | 市場占有率 |
日本 | 596,000 | 11.30% |
中国 | 1,564,000 | 5.90% |
欧州 | 536,000 | 3.00% |
米国 | 1,444,000 | 8.40% |
日本での2018年売上TOP3
日産自動車の売れ筋自動車を見ていきましょう。
地域によって順位が異なるため日本でのTOP3をご紹介します。
1位 デイズ (軽自動車)
2位 ノート (コンパクトカー)
3位 セレナ (ミニバン)
その他、EVのリーフ、SUVのエクストレイルやジュークなどの売れ筋車種があります。

株主構成
発行済み株式の43.4%をルノーが所有しており日産自動車の筆頭株主となっています。
参考情報ですが、日産自動車は三菱自動車の34.03%の株式を保有しており三菱自動車の筆頭株主でもあります。
2020 年3月期通期連結業績予想の修正
業績見通しの修正
新型コロナの影響もあり2020年3月期の連結業績予想の下方修正が発表されました。
見通しの修正は2020年に入ってから2度発表されています。
2月13日の1度目の修正では期末が無配となってものの、黒字の見通しでしたが、4月28日の修正で通期での赤字見通しとなりました。
売上高 (当初)10兆6,000億円 ⇒ (前回 ) 10兆2,000億円 ⇒(最新)不明
連結営業利益 (当初)1,500億円 ⇒ (前回)850億円 ⇒(最新)▲450億円
連結純利益 (当初)1,100億円 ⇒ (前回)650億円 ⇒ (最新)▲750億円
当初見通し (2019年度第2四半期) | 前回見通し 2020年2月13日 | 最新見通し 2020年4月28日 | 2019年度 第2四半期見通しとの比較 | |
売上高 | 10兆6,000億円 | 10兆2,000億円 | 不明 | |
営業利益 | 1,500億円 | 850億円 | ▲450億円 | 1,950億円減 |
当期純利益 | 1,100億円 | 650億円 | ▲750億円 | 1,850億円減 |
2020年1月以降のグローバル販売台数
4月28日の修正で一気に赤字見通しとなってしまいました。
その理由を探るとやはり新型コロナの影響もありグローバルで販売台数が大幅に減少しています。
特に2月以降は販売台数の減少が顕著となっており、前年同月比で2月は▲24.2%、3月は▲42.6%となっています。
自動車メーカーは固定費の割合が高いため大幅な売上減少となると損益分岐点売上を割り込みやすく一気に業績悪化してしまう傾向があります。
グローバル販売 | 1月 | 2月 | 3月 |
2020年 | 368,336 | 297,157 | 315,194 |
前年同月比 | ▲13.6% | ▲24.2% | ▲42.6% |
配当予想修正
2020年3月期配当予想
2020年2月13日の業績下方修正と合わせて配当の修正も行われました。
(当初)期末配当 10円 ⇒ (修正後) 0円
第2四半期は10円だったため通期では1株当り10円となりそうです。
前期実績と比較すると▲47円と大幅減配となっています。
①第2四半期 | ②期末 | ③合計(①+②) | |
前期実績(2019年3月期) | 28.5円 | 28.5円 | 57円 |
最新予想 | 10円(実績) | 0円(予想) | 10円(前期に対し▲47円) |
年度別配当推移
今回の減配により19年度の配当は10円となってしまいそうですが、2007年からの配当額の推移を確認するとリーマンショック後は大幅に減配し2009年度は無配だった実績があります。
2020年度の配当もコロナの影響が長引く場合は無配を想定する必要があるかと思います。

まとめ
高配当銘柄として超有名でしたが、個人的には危険な高配当銘柄として購入を避けていました。
しばらくは業績回復が見込めないと思うので2020年度は無配を予想します。
業績の回復目途が付くまでは手を出しにくい銘柄だと思います。

コメント
[…] 日産自動車 FY2020 1Q決算と通期予想についてかつての高配当銘柄として注目をしていた日産自動車の20年度1Q決算と通期業績予想が発表されました。通期では巨額の赤字予想と注目の配当もとうとう無配予想となりました。業績悪化については予想通りのため特にサプライズのある決算で…lifebetterlife.com2020.07.28 日産自動車の事業内容、業績、配当について高配当銘柄として人気(だった… […]