新車・中古車のネクステージ 2020年11月期決算について

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ネクステージとは?

中部地区の注目企業のご紹介です。先日、車の買い替え検討のため近所に新しくできたネクステージという車の販売・整備を扱う会社にお邪魔しました。
ここ数年で急速に店舗数が増えており勢いのある会社です。事業内容としては車の販売・整備・車検・中古車買取といった網羅的なサービスをワンストップで提供しています。ネクステージで車を購入すればその後のメンテナンス、車検、保険、買取までやってくれるというビジネスモデルです。

ネクステージビジネスモデル

店舗数の推移

積極的な新規店舗進出を継続しており5年間で3倍程度にまで店舗数が増加。ネクステージの急成長を支えてきました。

過去5年出店数の推移

売上高の推移

売上高も店舗数増に合わせて順調に拡大。2019年10月の増税後に売上減少しましたがその前の駆け込み需要があったため通年では売上は増加しています。

2019年度は増税前までは前年比大幅に売上が増加していましたが、増税後の10月以降は売上が減少していることが分かります。

よって、2020年11月期は増税の影響 + コロナ影響の二重苦となることが予想されるためこれまで通りの右肩上がりの業績維持は難しい可能性があります。

今期の業績は?

今期の業績予想を確認していきましょう。

ネクステージは上場以来、2019年11月期までは増収増益の成長を続けてきました。

2020年度業績予想

売上高 2,450億円(+11.7%)

経常利益 26億円(▲55.8%)

2020年11月期は売上高こそ前期比+11.7%ではあるが、経常利益は▲55.8%と大幅に悪化する予想となっています。

業績の推移 株探より

売上高こそ増加するが、店舗数は130⇒148店舗に増加するため、既存店売上では前年同等レベルという予想になります。

また、予想当期純利益率は1.2%とかなり低水準。もともと新規店舗拡充のため積極投資を成長フェーズであることから利益率は低い傾向にあります。

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1Q実績

2020年11月期の1Qの実績を確認します。当初計画に対して営業利益率が大幅に減少していることが分かります。

経常利益 計画 1,100億円 ⇒ 実績305億円

決算資料より

利益減少の理由は?

営業利益の大幅下落の理由を分析します。

既存店の中古車売上が前年比91.2%

在庫回転日数が伸びたことにより保管費用が増加

車両販売単価が減少し利幅が減ったことが要因とされています。

整備・保険のストックビジネスは拡大しているようですが全体の割合として少ないと考えられるため利益率減少に歯止めをかけられていません。

キャッシュフロー計算書を確認

キャッシュフロー計算書を確認してネクステージの現金の動きを確認していきます。

キャッシュ・フロー計算書の3つの項目を簡単にまとめると、下記の通りです。

営業活動によるキャッシュ・フロー = 本業での稼ぎを表します。事業でしっかり稼げてる場合はプラスとなります。

投資活動によるキャッシュ・フロー = 設備投資や資産売却などのキャッシュの流れ。 投資が多ければマイナスとなります。

財務活動によるキャッシュ・フロー = 資金の借入(キャッシュの増加)や借入金の返済(キャッシュの減少)、株主配当金(キャッシュ減少) 銀行などから借り入れが多いとプラスとなります。

ネクステージのキャッシュ・フローを確認すると、営業活動によるキャッシュフローがマイナスであることから、本業で稼げていないことが分かります。また、積極新規出店をしていることから投資活動でもマイナス。両者のマイナスを補うために銀行などからの借入れにより資金を調達していると予想され、財務活動によるキャッシュ・フローがプラスとなっています。

▲9,213百万円「営業活動によるキャッシュフロー」+▲10,822万円「投資活動によるキャッシュフロー」 < +14,572百万円「財務活動によるキャッシュフロー」であるため期末でのキャッシュは減少しています。期末でのキャッシュ減少により自己資本比率と財務活動による借入のため有利子負債の状況を確認していきます。

有利子負債の増加と自己資本比率の低下

予想された通り有利子負債は毎年増加しており、自己資本比率も25%程度まで減少しています。キャッシュが減少しているため金融機関からの資金調達をして現預金を増加させ経営を安定させる予定と記載があります。

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株価について

株価は2020年に入って半値以下となっています。

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株価対策として30億円を上限とした自己株式の取得を発表しています。自己資本比率が低下し、キャッシュが稼げていない状況で自己株買いをどこまで実施するか注目です。

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まとめ

2020年は増税後の反動とコロナの影響もあり消費が落ち込むため厳し業績が予想されます。また、営業活動によるキャッシュフローが大きくマイナスであることを改善しなければ今後の経営が難しくなると思います。

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