JT株を一言で言い表すと「高配当」の魔力を持った「株価下落気味」の銘柄です。
配当利回りが高い = 買いではないと思うので購入を考えている方は株価自体の値下がりリスクを考量する必要があります。ただし、フリーキャッシュフローは1年間で3,000億円増加・利益剰余金も2.7兆円もあることからキャッシュリッチな企業であることは間違いありません。
配当利回りは8%強となっています。
国内最強クラスの高配当銘柄ですが下記2点の理由から株価は下落トレンドです。
①売上が増えない
たばこの規制などもあり売上収益は前年比▲1.8% 営業利益は▲11.1%と減少しています。
医療事業や加工食品事業も行っていますが、売上の大半はたばこ事業のため今後の売上増は難しいと考えられます。
②ESG投資の広がり
投資ファンドなどがESGの観点に薄い企業を構成銘柄から除外する動きがあり、JT株を保有しなくなっているそうです。
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったものです。今日、企業の長期的な成長のためには、ESGが示す3つの観点が必要だという考え方が世界的に広まってきています。一方、ESGの観点が薄い企業は、大きなリスクを抱えた企業であり、長期的な成長ができない企業だということを意味します。ESGの観点は、企業の株主である機関投資家の間で急速に広がってきています。投資の意思決定において、従来型の財務情報だけを重視するだけでなく、ESGも考慮に入れる手法は「ESG投資」と呼ばれています。SustainableJapanより
簡単に決算内容を振り返ってみます。
JTの決算概要
業績
売上収益 ▲1.8%
当期利益 ▲9.7%
為替調整後の営業利益は+0.9%
営業利益率は20%以上と高水準だが年々減少傾向
来季の業績予想
売上収益は+0.2%の予想
当期利益▲12.4%の予想
当期利益の減少によりEPSが195.97円⇒171.95円(▲12.3%)に減少
配当
2019年度 154円 配当性向 79%
2020年度 154円 配当性向 90%
20年度はESP171円に対して配当維持の154円の予想のため配当性向は驚異の90%
当期利益に不安はあるが、安定性を重視して配当は維持
今後の配当を考える上で利益の積み重ねである利益剰余金を確認すると2兆7505億円
圧倒的な利益剰余金があるので財務は安定 しかし、リスクとして非流動資産の「のれん」が2兆円もあるため、M&Aした企業業績が悪くなるなどした場合は「のれん」の減損処理が必要となり一気に業績が悪化する可能性もあるため大きなリスクを背負っていると言えます。
フリーキャッシュフローは約3,000億円増加
まとめ
売上収益、利益ともに減少傾向だが2019年度、2020年度は安定性を重視して配当維持
利益剰余金、キャッシュフローなどの財務は安定しているので 配当性向90%でも維持していくのか注目ポイント
「のれん」リスクがあることを考慮する必要あり
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